サク男です。
私は地元の工務店で家を建てる際、外断熱はフェノールフォーム、内側断熱はガラスウールのダブル断熱としました。
他にもいくつか検討はしましたが、
ウレタン吹付断熱だけは嫌だなぁ〜
以上のように思っていました。
コストと性能のバランスに優れる現場発泡ウレタンフォーム(吹付断熱)ですが、デメリットの方が大きい気がします。
現場発泡ウレタンのメリット
オススメしないといってもやっぱりメリットがあるから採用されています。そのメリットを先ずは把握しましょう。
主なメリットは以下の2つ
- 他の断熱手法と比較して安価
- 気密も確保できる
それぞれについて記載します
他の断熱手法と比較して安価
下記はフォームライトSLのホームページ記載の表ですがコストが低いです。
私が建てた工務店も吹き付けウレタンを利用した方がコストを下げることが出来ました。
各社コストパフォーマンスをアピールしていることからも安く施工できるというのは本手法のメリットと言えそうです。
気密性も同時に確保できる
壁の内側からウレタンフォームを吹き付けるので同時に隙間を埋めることができます。気密パッキンやフィルムを使用することなく、ある程度の気密性を確保することが出来ます。
工数がかからない割に気密も確保できるのでコストパフォーマンスが高いといえます。ただ、後述しますが初期の気密は確保できても経年で気密性が落ちてくる可能性が高いです。
現場発泡ウレタンをオススメしない理由
安くて性能が高い、それが現場発泡ウレタンのメリットですが、やっぱりオススメは出来ません。その理由は次の3点です。
- 内断熱は壁内結露が発生しやすい
- ウレタンは湿気に弱い
- イソシアネートとアミンの影響
それぞれについて記載していきます。
内断熱は壁内結露が発生しやすい
ウレタン吹き付け断熱は外断熱と比較し、壁内結露が発生しやすいというデメリットがあります。
木造住宅の柱は伸び縮みします。ウレタンフォームが伸び縮みしてくれれば良いですが、一般に用いられる硬質ウレタンフォームは伸び縮みするような材料ではありませんので、経年での隙間の発生は避けられないでしょう。
その場合、壁内に室内の空気が入り込み、壁内結露が発生する可能性があります。壁内結露が発生し、構造材が湿ったりすると、カビや腐食が発生する可能性があります。
ウレタンは湿気に弱い
軟質ウレタンフォームは湿気に弱いです。硬質ウレタンフォームは気にしなくても大丈夫です。この手の断熱材は基本的に硬質ウレタンフォームが採用されていますが、一部軟質ウレタンフォームもあるようです。
ウレタン全てが加水分解してドロドロになるとする人もいますが、化学構造的にドロドロになるのは軟質ウレタンだけです。現場発泡ウレタンのほとんどは硬質ウレタンフォームでばかりかと思いますが、一部防湿シートを必要とする製品があります。
そのような製品は軟質ウレタンと考えた方がいいでしょう。軟質ウレタンは加水分解しますので、壁内結露は大敵です。防湿シートの適用が標準だとは思いますが、木材だけでなく断熱材もボロボロになるというダブルパンチになるとまずいので、確実な施工が必要です。
イソシアネートとアミンの影響
個人的にはこれが一番気になります。現場発泡ウレタンの原料は基本的に体に良くありません。
ウレタンの原料は基本的にポリオール、イソシアネート、アミン系の触媒です。ポリオールとイソシアネートが反応することでウレタンとなり、触媒はその反応を調整しています。
このイソシアネートには喘息の原因となる可能性のあるMDIが使われています。反応が完了すればそのような毒性は失われますし、未反応分が残ったとしても空気中の水分と反応するので気にしなくて良いと言うのが通説です。
また、触媒に用いられるアミン化合物も生殖毒性があるとされていますが微量であるので問題ないというのもよく聞く話です。
ですが本当にそうなのでしょうか。下記の記事には空気中のイソシアネート濃度を測定した結果、微量ではあるもののイソシアネートを検出しています。
イソシアネートがヒトに及ぼす影響
私の職場ではMDIを使うこともありますが、作業者によっては体調が悪くなる人もいます。また、未反応分をゼロにするのは困難で、未反応分を嫌う製品は二次キュアと呼ばれる追加加熱を行ったりします。
過剰に不安がるのはいけないとは思いますが、そんな化学物質が家の中全体にあるというのはあまり気持ちの良いものではありません。ソファーやマットレスのウレタンとは比べ物にならない量が家の中に存在するわけですから。
家には長い期間住むわけですので、安全であればあるほど良いと思います。ですので私個人としてはコスト的に有利なのは認めつつもオススメできません。
まとめ
ウレタン吹付断熱はコストと性能のバランスが高くコストパフォーマンスが良いかもしれませんが、安全性という面を考慮する必要があると思います。
たとえ無視できるレベルの量であっても、影響が出る出ないは人によるということを考えた方が良いです。事実として、ウレタンの作業が体に合う合わないで作業者を変更するケースがあるわけですから。
住宅の断熱材選びの参考にして頂ければと思います。
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